介護職員へ一人あたり5.4万円の一時金、本当に貰えるのか?
今回は昨年末あたりに話題になった介護職員へ一人あたり5.4万円の一時金!!の言葉が一人歩きし、介護職員なら誰でも5.4万円貰えるんだ!と思っている方がおられるかもしれませんが、この記事で実際にどのような介護職員がいくら貰えるのかをご説明いたします。
介護職員へ一人あたり5.4万円の一時金にはややこしいルールと仕組みがあります。
今回政府が補正予算では常勤の介護職員1人あたり、およそ5.4万円の一時金を支給できるように介護職員の賃上げ、職場環境の改善に向けた補助金の新設を行いました。
今回の一時金の仕組みと内容について
大前提として、今回の一時金と言われているお金は、政府が物価高騰や人材獲得に対応できるよう常勤介護職員一人当たり5.4万円を事業所に給付する仕組みなので、皆さんが思っているような「介護職員は一時金を貰えるんだ!」のような、単純なものではありません。
介護事業所に対しての給付であって、「介護職員への直接的な給付ではない」という事をまず知っておかなければなりません。
常勤一人あたり5.4万円とニュース等で金額が伝えられていますが、例えば、常勤職員が10名いる場合、その人数に応じた金額が支給されるため、事業所には最大54万円支給される可能性がありますが、今回の一時金の使い道は事業所の裁量が認められます。
一時金の使い道として以下のような幅広い使途に利用することが可能です。
・一時金としての支給:皆さんが期待されているように一時金として全額支給することも可能
・職場環境の改善:研修費用の補助や、介護職員の負担軽減の為の設備投資などに使うことも可能です。
介護職員へ一時金として支給することも可能だし、職場環境の改善として、ICTの導入や研修費用の補助などに全額使用することも可能です。
全ての介護職員が一時金を貰えるのか?
今回の一時金の支給対象は処遇改善加算を取得している事業所に勤務する常勤職員です。
介護職員でも処遇改善加算対象外の事業所や、対象事業所であっても非常勤の職員は一時金の対象となりません。
処遇改善加算対象外の事業所
(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、(介護予防)福祉用
具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導、居宅介護
支援、介護予防支援で勤務されている方は今回の一時金の対象外となっています。
一時金はいくら貰えるのか
では仮に事業所が全額一時金の支給に給付金を使ったら
給付金の全額を介護職員への一時金の支給に使用するとしても、常勤職員10人、パート職員5人の事業所があった場合には54万円の給付があります。
常勤職員のみに5.4万円を支給するのか、パート職員にも支給するのかで貰える金額には差が出てしまいます。単純計算で54万円÷15人であれば一人あたり3.6万円になりますし、勤務日数や勤務時間の違いから常勤とパート職員で金額差を設ける事業所もあるかもしれません。
上記の理由から5.4万円全額貰える方は少ないのではないかと予想しています。
一時金支給によって起きる現場への影響と不満
今回も【介護職員へ5.4万円の一時金】が独り歩きしてあたかも「介護職員であれば5.4万円お金が貰えますよー!」みたいなニュースが多い印象です。
仮に常勤職員のみに一時金を支給する場合は非常勤職員やパート職員への説明や対応も必要になるでしょうし、非常勤職員やパート職員へも支給するとなった場合は常勤職員への支給額が減ってしまうので常勤職員への説明と対応が必要になるでしょう。
どちらの対応をするにしても現場の職員の間で不公平感がでてしまうのではないでしょうか?
今回の介護職員への一時金の件に関しては、貰えればラッキー程度の感覚で待っておくのが精神衛生上いいような気がします…
今回の補正予算が、一時金ではなく、介護職員の恒久的な賃金の底上げであればこのような不公平感は発生しないように思うので、政府にはぜひ恒久的な賃上げの財源となるような制度をお願いしたいと思います。
今回もここまでご覧いただきありがとうございました。